☆第１２７回　危機管理（１３．明日のエネルギー戦略＜８化石燃料輸入負担と貿易赤字＞）

第１２７回　危機管理（１３．明日のエネルギー戦略＜８化石燃料輸入負担と貿易赤字＞）

２０１１年７月１１日（月）
　
８．化石燃料輸入負担と貿易赤字
年３兆円の化石燃料の輸入負担は経済への悪影響が大きく、国債発行残高９００兆円を超える借金国としては貿易赤字の定常化に近づくと一気に円の信用不安をも誘発する可能性がある水準である。
過去３年余り（２００８年１月から２０１１年５月までの４０ヶ月間）の貿易収支に月２５００億円（年３兆円）の貿易赤字を重ね合わせると実績７回／４１ヶ月の貿易赤字が想定２０回／４１ヶ月の貿易赤字になる。年単位でもても過去３年で２回貿易赤字となってしまい貿易赤字定常化の水準である。
今後企業の海外流出が進み景気が停滞し、資源枯渇、及び貿易赤字による円安で輸入資源高となる可能性もあり、
貿易黒字国日本のイメージは完全になくなる可能性が大きくなる。そうなれば、輸入資源が比較的自由に入手できる環境ではなくなり停電が定常化する可能性が出てくる。それを回避するのが危機管理である。

それでは、輸入資源増加（年3兆円）による貿易収支を過去の貿易収支に資源輸入額をマイナスしシミュレーションしてみよう。

年別貿易統計
　　　　　　輸出入総額の推移（単位：億円）

暦年	輸出実績	輸入実績	仮想貿易収支差額年額 (-３兆円）	備考
2000	516,542	409,384	77,158
2001	489,792	424,155	35,637
2002	521,090	422,275	68,814
2003	545,484	443,620	71,863
2004	611,700	492,166	89,533
2005	656,565	569,494	57,072
2006	752,462	673,443	49,019
2007	839,314	731,359	77,955
2008	810,181	789,547	-9,367	貿易赤字化
2009	541,706	514,994	-3,288	貿易赤字化
2010	673,996	607,650	36,347
参考：財務省貿易統計より			仮定脱原発による資源輸入年3兆円の影響

月別貿易統計
　　　　　輸出入総額の推移（単位：億円）

暦年月	輸出	輸入	仮想貿易収支差額月額 (-2500億円）	備考
2010年6月	58,672	51,967	4,205
2010年7月	59,819	51,973	5,346
2010年8月	52,098	51,460	-1,862	赤字化
2010年9月	58,396	50,653	5,243
2010年10月	57,225	49,099	5,626
2010年11月	54,398	52,822	-924	赤字化
2010年12月	61,120	53,924	4,696
2011年1月	49,703	54,497	-7,294	赤字化
2011年2月	55,890	49,387	4,003
2011年3月	58,612	56,749	-637	赤字化
2011年4月	51,566	56,243	-7,177	赤字
2011年5月	47,600	56,158	-11,058	赤字
参考：財務省貿易統計より			↑仮定脱原発による資源輸入年3兆円（月2500億円）の影響

いま、原子力発電の安全性の未達を追い風として脱原発及び自然エネルギーを推進する動きがあるが、
今の脱原発は輸入資源を使用する火力発電のシェアーを上げるだけで自然エネルギーを推進することにはならない。
脱原発は輸入資源を買わざるを得ず、本来発展的投資されるべき資本が海外に流出し、自然エネルギー推進の余力が無くなってくる事を意味することを忘れてはならない。
結論を言えば、原子力発電の安全性を追及し、メタンハイドレート等の国産エネルギーの開発を推進し、自然エネルギーも地熱発電等を中心に開発していくことだ。
輸入化石燃料の輸入は極力抑えるべきだ。
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今日の外来語言い換え辞典　（国立国語研究所外来語言い換え提案引用）
プレゼンス＜存在感＞　全体 ★☆☆☆ 60歳以上 ★☆☆☆
意味
　政治・経済や軍事において，強い組織が与える存在感
使用例
　我が国の貿易における中国のプレゼンス【存在感】が急速に高まっている。
その他の言い換え
＜存在・展開・軍事展開＞
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作成2011.07.11
更新2011.07.11

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