第120回 危機管理(7.明日のエネルギー戦略)
2011年5月23日(月)
7.明日のエネルギー戦略
今後の電力の安定供給に向けて発電エネルギーの評価と推進を考えていかなければならない。ある一つの発電エネルギーについて欠陥が現れたからといってそれを悪者にして排除してしまって物事が解決するものでもない。冷静な評価が必要である。また電力エネルギーにおいては多くのエネルギーを使い合わせることが資源高騰、資源枯渇等の危機回避に繋がるのである。原子力エネルギーにおいては安全面で問題が出たが、技術的に改善できない問題ではない。危険予知的取り組みと技術改善により高度な安全を確保してほしい。
そこで、「各発電エネルギーの特徴と評価」をまとめた。
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種別 |
資源 |
発電単価(円/kWh) |
設備利用率(%) |
電源特性 |
環境負荷 |
供給安定性【得点】 |
課題等【減点】 |
エネルギー源としての |
備考 |
原子力 |
原子力 |
4.8~6.2 |
70~85 |
一定の発電量を維持する発電方法がとられている。 |
発電時に二酸化炭素をほとんど排出しない。 |
燃料のウランは多くの地域に分布し、燃料の備蓄が容易など、供給安定性は高い。 |
国民の原子力に対する不安や、高レベル放射性廃棄物の処理処分対策の解決が望まれる。 |
140 |
安全面での課題は多いが、現状基幹エネルギーとしての役割はおきい |
核融合 |
推定5【80】 |
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同上 |
資源は海などに存在 |
実用化には克服すべき技術的課題が多い(研究中)【0】 |
240 |
有望なエネルギーであるので研究が急がれる |
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化石燃料 |
石油 |
10.0~17.3 |
30~80 |
需要量変化への対応に用いられている。 |
二酸化炭素排出量は、天然ガスより多く、石炭よりは少ない。 |
中東地域への依存度が高く、供給安定性に懸念がある。 |
石油依存度を低下させる目的から、さらなる導入は好ましくない。 |
70 |
資源埋蔵量、環境面で推進されない |
LNG |
5.8~7.1 |
60~80 |
高効率で、需要量変化への対応や一定の発電量を維持することも対応できるなど優れた特性がある。 |
石油や石炭火力と比べ、二酸化炭素排出量が少ない。 |
東南アジアや中東への依存度が高く、供給安定性は高くない。 |
より高い効率の発電方式が開発・導入されている。 |
150 |
資源埋蔵量、環境面で推進されない |
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石炭 |
5.0~6.5 |
70~80 |
一定の発電量を維持する発電に用いられている。 |
他電源と比べ、二酸化炭素排出量が最も多い。 |
資源が広く、多くあるため供給安定性は高い。 |
二酸化炭素排出を抑えるため、高効率な発電方式などの対策が望まれる。 |
120 |
環境面で推進されない |
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推定5【80】 |
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国産ネンルギーとして安定居供給 |
使用済み炭酸ガスの固化埋蔵し再利用資源化 |
100年分国内埋蔵 |
試験実施中 |
210 |
100年分国内埋蔵、使用済み炭酸ガスの固化埋蔵し再利用資源として開発 |
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自然エネルギー |
風力 |
10~14 |
20 |
発電が不安定であり、風の状況の良い場所が求められるため立地場所が限られる。 |
発電時に二酸化炭素をほとんど排出しない。 |
資源の制約はないが、不安定である。【40】 |
不安定な発電への対策と騒音、景観などへの対策が必要になる。【-30】 |
140 |
推進ではあるが立地での障害が多い |
水力 |
8.2~13.3 |
45 |
需要量変化への対応にも用いられる。 |
発電時に二酸化炭素をほとんど排出しない。 |
渇水時には発電が困難になる。 |
大規模発電が可能な場所が少なくなっている【-30】 |
110 |
推進ではあるが立地での障害が多い |
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太陽光 |
46 |
12 |
発電が不安定であり、天候や時間帯により必要な電力が得られない。 |
発電時に二酸化炭素をほとんど排出しない。 |
資源の制約はないが、不安定である。【30】 |
不安定な発電への対策と高いコストの低減が必要になる。【-30】 |
110 |
推進ではあるが、コスト、電力供給不安定さから基幹エネルギーにはならない |
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太陽熱 |
推定12【30】 |
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同上 |
同上【100】 |
同上【30】 |
広い場所が必要【-30】 |
130 |
推進ではあるが立地での障害が多い |
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波力 |
推定12【30】 |
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潮の状態により発電量が左右される |
同上【100】 |
同上【30】 |
海草などが絡まりメンテナンスコストがかかる |
130 |
日本では立地に難しさがある |
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地熱 |
推定12【30】 |
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同上【100】 |
安定性はある |
温泉地近くなので立地反対も予想される【-20】 |
130 |
日本では立地に難しさがある |
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参考文献 |
参考使用データ:経済産業省、エネルギー白書 2008年版(2008) |
参考:原子力ポケットブック 2004年版 |
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注1)設備利用率(%)=1年間の発電電力量/(定格出力×1年間の時間数)×100% |
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注2)総合評価は200点満点 |
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注3)【得点】は当方の客観的評価である |
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☆♪――――――♪
今日の外来語言い換え辞典 (国立国語研究所外来語言い換え提案引用)
パブリックコメント<意見公募> 全体 ★☆☆☆ 60歳以上 ★☆☆☆
意味
行政による施策を原案段階で公表し,市民一般から意見を募り,その上で意志決定を行う手続
使用例
行政は積極的に意見交換会等を開催するほか,パブリックコメント【意見公募】の実施等消費者や生産者等との日常的な対話の場の提供に努めることが必要である。
その他の言換え語例
<意見募集・ 意見公募手続・意見提出手続・
公募意見・一般から提出された意見・市民の意見>
要望問い合わせ他
作成2011.02.26
更新2011.05.23
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