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第14回国債の大量発行の影響

1.国債の大量発行によるリスク増大
国債の大量発行はデフレ要因であることを前に述べたが、国債の大量発行は金利上昇に繋がる。その内容をもう少し見てみよう。
(1)銀行の貸し出し抑制要因
金利上昇は既存国債の時価が下がるので、既存国債所持者は含み損を抱える。メガバンクは1行当たり20~30兆円の国際を保有しているといわれる。その含み損は数千億円となる可能性がある。それは、企業への貸し出し抑制につながる。
(2)企業の事業意欲の減退を招く
国債の金利が上昇すると、社債発行を計画している企業は、金利を上乗せしないと社債が売れない。資金調達が難しくなり、企業の事業意欲の減退を招く。資金調達が出来ず倒産に至る可能性もある。倒産まで至ると社会的損失になり、産業を元に回復するのに多大な時間と労力を要する。
(3)株価低下要因
株式購入よりも国債の利回りが良いかリスクが少ないとなると、株式購入意欲が薄れ株価低下要因となる。これは、株式所持者の含み損を招きデフレ要因となる。
☆1994年以降景気回復の手段として国債が発行されて財政投資による景気刺激の政策が採られてきたが、景気回復には相当の時間が掛かっており、近年むしろ国債残高リスク増大の副作用の方が大きくなっている。

2.国債の市場への発行リスク対応
日銀は18日の金融政策決定会合で長期国債の買い取り額を月1兆4000億円から1兆8000億円に増やすことを決めた。4000億円の増額は過去最大で、金融市場の緊張緩和に向けて積極的に資金供給する姿勢を一段と鮮明にした。政府の追加経済対策に伴って国債増発による長期金利上昇が懸念される中、日銀による長期国債買い取りの大幅増額は金利抑制効果も見込まれることから、日銀が政府の側面支援に回った一面もある。
【2009年3月19日毎日新聞】
このことは日銀自体も金融危機が依然予断を許さない情勢にあることを指摘している。そして、新たに市場に出回る国債のデフレ要因を抑えようとする意図が見える。しかし、日銀の国債買い取りにも限度があり、日銀は日銀券発行残高(現在76兆円)に定めている。

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編集後記
政府・与党が10日に決定する過去最大規模の追加経済対策により、09年度の一般会計の総額は100兆円を超え、国の借金に当たる国債の発行額が戦後初めて、税収を上回る見通しとなった。景気の底割れ回避のため、歳出拡大を加速させる一方、企業業績の悪化から税収が大きく落ち込むことが響いた。【2009年4月10日毎日新聞】
今年に入り法人税の税収が前年度比30%減少の統計が出ている。金融危機、円高による輸出産業中心に赤字企業続出の影響である。ここのところ、米の2月の住宅着工件数、日本2月の機械受注件数などで景気のやや持ち直し傾向が見られる。円高解消傾向の為替の動きで1ドル100円程度になっていることから輸出のやや持ち直し傾向も予想される。デフレはインフレよりも始末が悪い。早く景気が回復して欲しいものだ。

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今日の外来語言い換え辞典 (国立国語研究所外来語言い換え提案引用)
ソリューション<問題解決> 全体 ★☆☆☆ 60歳以上 ★☆☆☆
意味
顧客の抱える問題に解決策を提案し,問題解決を支援すること
<解決支援 解決策>
使用例
 技術チーム責任者としてソリューション〔問題解決〕の実現に対する総責任をもち

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